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こんにちは

2022年10月1日付けで、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科組織細胞生物学の教授を拝命いたしました赤澤祐子と申します。私は長崎生まれの長崎育ちですが、これまでの人生の8年間をアメリカ中西部で過ごしました。海外居住歴が長かったためか、見たことがないものや異文化と触れ合うことが好きな性格です。

同学第二内科に入局し、内科医としてキャリアをスタートしました。そこで呼吸器・腎臓・消化器・循環器グループを研修し、CT・内視鏡画像・病理像を通して人体に起こる現象をカタチとしてとらえることに魅了されていきました。2006年にはMayo ClinicのGregory Goresの下で脂肪酸による肝細胞の小胞体ストレスについて分子細胞生物学を学びました。様々に形を変えていく細胞小器官に興味を持ち、消化器内科医として働く傍ら長崎大学で細胞ストレスに関する研究を続けてきました。

2013年からは病理学教室に所属し、組織の世界に足を踏み入れることになりました。組織を通じてストレス状態にある細胞DNA損傷応答の可視化についての研究を行いました。その中で人体の組織は、一つの細胞から発生してきたものであり、実は基本構造はどの臓器でも共通している、という認識を新たにしました。現在、メインの研究は”一枚のスライドから患者さんに貢献する”というモットーを掲げ、組織中の蛋白・遺伝子発現や人工知能を取り入れた予後の治療方針を推定する研究に取り組んでいます。生活習慣病として発症する脂肪肝における肝細胞のアポトーシス経路が肝硬変や発癌に及ぼす研究も行っています。さらに、第一線で地域医療を行っているドクターと連携して、組織学的に貴重な症例を長崎から世界へ発信する取り組みを行っております。

当教室は中根一穂先生が蛋白の局在を組織の中で視覚化する酵素抗体法を開発し、小路武彦先生がIn situ hybridizationにより組織中のmRNAの発現を可視化する手法の研究開発を行ってきた歴史があります。今回、これまでお世話になった消化器内科・病理学教室を離れ、世界に貢献した先輩方に率いられた基礎教室の教授を拝命し、気が引き締まる思いです。

 

私たちのオフィスは緑豊かな長崎市坂本キャンパスの基礎棟にあります。南国らしくパームツリーが青空に映える風景が気に入っています。今後は当教室の歴史を尊重しつつ、AIを活用した癌の予後予測やDNA損傷応答解析を含めた研究で領域・臓器横断的に、チームでの研究を展開していきたいと考えています。予想外のことが起き、変わりゆく世の中に対応したフレキシブルな戦略が必要であると考えます。多様性の確保が生き残るカギであり、人類は集合知能で発展していくものと思います。当教室では様々なバックグラウンドから研究者のリクルート及び、国際的に活躍できる人材の育成に努めていきたいと考えております。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

                               ​2023年6月

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